汚染土壌の処理・運搬

このページの目次
土壌汚染対策法の概要の目次
対策工事(工法選定)の目次
汚染土壌処理施設の目次
汚染土壌の運搬方法の目次

 

 

土壌汚染対策法の概要

目的

土壌汚染対策法の目的
矢印1
国民の健康被害を保護

 

この法律は、土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置等を定めること等により、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康を保護することを目的とする。

 

 

調査契機

法第3条

調査契機・法第3条

有害物質使用特定施設を廃止する時

※操業を続ける場合は、調査の免除も可能(法第3条第1項ただし書)

※免除中に900m2以上の土地を改変する時は、調査義務が発生(法第3条第7項・第8項)

法第4条

調査契機・法第4条

3,000m2以上の土地を改変する時

※有害物質使用特定施設が設置されている土地は900m2以上

法第5条

調査契機・法第5条
健康被害が生じるおそれがあると都道府県知事が認める時

 

 

自主申請

法第14条

自主申請・法第14条

自主調査で土壌汚染が判明し、都道府県知事に報告したい時(区域の指定を申請したい時)

自主調査とは?
法3条、4条、5条にあてはまらない調査

条例に当てはまらない例

・土地の売買に伴う調査
・条例による調査(残土条例等)

矢印1

汚染が発覚しても法律の対象外

※ただし、条例調査は法律とは別に行政対応が必要!

矢印1

対象外でも土壌汚染の適切な管理・拡散防止が必要

矢印1

申請することが望ましい

 

 

土壌汚染調査のすすめ方

【1】地歴調査

地歴調査

資料調査(登記簿、航空写真、地形図など)、聴取調査により、調査対象地の土壌汚染のおそれを把握する。

 

【2】概況調査(表層調査)

土壌汚染の平面分布の特定をする。

概況調査(表層調査)

 

【3】詳細調査(深度調査)

ボーリング調査

汚染が確認された地点について、ボーリング調査を行う。

 

 

特定有害物質の種類

特定有害物質の種類表-2021-05-19

 

 

区域の指定

都道府県知事は、土壌汚染状況調査の結果、汚染が見つかった土地について、以下のとおり健康被害のおそれの有無に応じて、区域の指定をします。

区域の指定の例

 

【1】要措置区域

要措置区域

土壌汚染の摂取経路があり、人への健康被害が生じるおそれのある土地。周辺で「地下水の飲用利用等がある」と適用される。措置(対策)のために行う場合以外は、原則として開発行為等は禁止。

矢印1

汚染の除去等の措置(対策工事)が必要

 

【2】形質変更時要届出区域

形質変更時要届出区域

汚染はされているが、土壌汚染の摂取経路がなく、人への健康被害が生じるおそれのない土地。開発行為等は可能。

矢印1

土地の形質を変更する14日前までに届出が必要

 

 

 

対策工事(工法選定)

【1】掘削除去

堀削除去

対象物質 第1,2,3種特定有害物質
内容 汚染土壌を掘削除去し、基準に適合した土壌で埋め戻しを行う。掘削した汚染土壌は、場外で適正に処理します。

 

【2】盛土

盛土

対象物質 第2種特定有害物質
内容 汚染土壌を盛土により覆い、汚染土壌に直接触れないようにする工法。

 

【3】舗装

舗装

対象物質 第2種特定有害物質
内容 汚染土壌を舗装により覆い、汚染土壌に直接触れないようにする工法。

 

【4】原位置封じ込め

原位置封じ込め

対象物質 第1,2,3種特定有害物質(第二溶出量基準以下)
内容 汚染土壌のある区域を鋼矢板その他の遮水壁により囲み、汚染された地下水の流出を防止する工法。上部はコンクリート又はアスファルトで覆うことにより、雨水が浸透しないようにする。

 

【5】不溶化

不溶化

対象物質 第2種特定有害物質(第二溶出量基準以下)
内容 薬剤(不溶化剤)を注入または混合し、汚染土壌から有害物質が地下水に溶け出さないようにする工法。

 

【6】原位置浄化(鉄粉工法)

原位置浄化(鉄粉工法)

対象物質 第1種特定有害物質(一部を除く)
内容 鉄粉を混合し、化学反応により汚染土壌に含まれる有害物質を分解する工法。

 

 

 

汚染土壌処理施設

14日前までに届出

汚染土壌の処理を業として行う者は、汚染土壌の適正処理の確保から都道府県知事の許可が必要。

汚染土壌処理施設の種類は、法第22条第2項第3号及び処理業省令第1条により、5種類に規定されている。搬出の14日前までに届出(法第16条)が必要。

 

【1】セメント製造施設

セメント製造施設
セメント製造施設とは、土壌汚染を原材料として利用し、セメントを製造するための施設のこと。詳細は下記ページを参照。

 

セメントリサイクルのページへ

(画像引用元:汚染土壌の処理業に関するガイドライン改訂第4版)

【2】浄化等処理施設

浄化等処理施設
浄化等処理施設とは、汚染土壌の浄化、溶融又は不溶化を行うための施設。

【例】浄化(洗浄処理)
汚染土壌を、ドラムスクラバーで分級・洗浄し、濃縮汚染土壌と清浄土に分ける。濃縮された汚染土壌は管理型処分場または、セメント工場等で2次処理を実施する。清浄土は、再利用が可能。

(画像引用元:汚染土壌の処理業に関するガイドライン改訂第4版)

【3】埋立処理施設

埋立処理施設
搬出された汚染土壌の埋立てを行うための施設。管理型処分場。

(画像引用元:汚染土壌の処理業に関するガイドライン改訂第4版)

【4】分別等処理施設

分別等処理施設
汚染土壌から岩石、コンクリートくずその他の物を分別し、又は汚染土壌の含水率を調整するための施設。汚染土壌の汚染状態が変化しないので、必ず再処理が必要。再処理委託先はセメント製造施設が多い。

(画像引用元:汚染土壌の処理業に関するガイドライン改訂第4版)

【5】自然由来等土壌利用施設

自然由来等土壌利用施設
自然由来等土壌利用施設とは、自然由来等土壌を盛土材料又はその他の材料として利用する「自然由来等土壌構造物利用施設」と、海面に埋立を行う「自然由来等土壌海面埋立施設」の2施設のこと。(※埋立処理施設を除く)

(画像引用元:汚染土壌の処理業に関するガイドライン改訂第4版)

 

 

 

汚染土壌の運搬方法

土壌汚染対策法では、産業廃棄物の「収集運搬業」の様な許可制度は設けられていない。

⇒ 運搬に関する基準を定め、その遵守が義務付けられている。

 

代表的な基準の例

搬出の事前の届出義務
荷台にシート掛け
汚染土壌運搬車
搬出から30日以内に完了

 
 

管理票の運用方法

管理表